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なぜアメリカ人は民主主義を獲得できないのだろう

Paul Craig Roberts
シリアでは、アメリカ侵略前のイラク同様、政府は非宗教的だ。スンナ派とシーア派の分裂があるアラブ諸国では、非宗教的な政府が重要だ。非宗教的な政府が、分裂した国民がお互いに殺し合うのを防ぐのだ。

第二次世界大戦後にアメリカが設定したニュルンベルク基準のもとでは戦争犯罪にあたるアメリカ侵略が、サダム・フセインの非宗教的な政府を打倒すると、イラクのスンナ派とシーア派同士が戦うようになった。イラク人同士の内戦がアメリカ侵略を助けたのだ。それでも、十分な人数のスンナ派がイラクを占領するアメリカ人と戦うのに時間を割いているため、武力行使において、アメリカがいかに乱暴で、無差別であろうと、アメリカは決してバグダッドを占領することなどできない。ましてイラクを。

アメリカ侵略の結果は、イラクにおける民主主義と女性の権利ではなく、まして始めから、武器査察官が完璧に明らかにしていた通り、存在していなかった大量破壊兵器の破壊でもない。結果は、スンナ派からシーア派への政治権力の移行だ。イスラムのシーア派版とは、イラン版ということだ。かくして、ワシントンの侵略は、非宗教的な政府から、イランと同盟するシーア派へとイラクにおける権力を移行させた。

現在ワシントンは、この愚行をシリアでも繰り返そうとしている。アメリカ国務長官、ヒラリー・クリントンによれば、ワシントンは、アサド政権を打倒するためなら、アルカイダと手を組むことさえ辞さない。今やワシントン自身がアルカイダと繋がっているということで、ワシントンの政府は、反テロ法規のもとで逮捕されるのだろうか?

アサドに対するワシントンの敵意は偽善だ。2月26日、シリア政府は、将来の大統領に任期を設定し、バース党が享受した政治的独占を無くすシリア新憲法の国民投票を実施した。シリアの投票率は57.4%で、2008年オバマ当選時の投票率に匹敵する。(シリアで武装した西欧が支援する反乱があったにもかかわらず) 1972年から2004年までの九回の米大統領選挙より高い投票率だった。新シリア憲法は89.4%の得票で承認された。

だが、ワシントンは民主的な国民投票を非難し、シリアに民主主義をもたらすため、シリア政府は打倒されるべきだと主張している。この地域におけるワシントンの同盟者達、サウジアラビアやカタールのような、国民から選出されたわけではない石油君主国は、自国内では決して認めようとはしていない民主主義を、シリアにもたらすために、反政府イスラム教徒に進んで兵器を提供するという声明を発表している。

ワシントンにとって“民主主義”は大量破壊兵器だ。ワシントンがある国に“民主主義”をもたらすというのは、リビアやイラクの様にその国を破壊することを意味する。民主主義を意味してはいない。リビアは大混乱し、実効的政府のない人権の悪夢状態だ。

ワシントンはヌリ・アル-マリキをイラク大統領に据えた。彼は選挙で敗北したのに権力の座に居すわっている。マリキは副大統領はテロリストだと宣言し、逮捕を命じ、スンナ派の政治家を逮捕するのに国家警察を使っている。シリアのアサドはイラクのマリキよりは民主的だ。

十年間、ワシントンは、そのむきだしの侵略戦争を“中東に民主主義と人権をもたらす”ものといつわり続けてきた。ワシントンは中東に民主主義をもたらしながら、アメリカでは民主主義を破壊している。ワシントンは中世の拷問地下牢や自己負罪を蘇らせた。ワシントンは適正手続きや人身保護令状を消滅させた。アメリカ国民が、裁判や、証拠の提示無しに、無期限に投獄されることを認める法律を、オバマの要請で、議会は圧倒的多数で可決した。令状無しの捜索やスパイ行為は、21世紀の変わり目には違法で違憲だったが、今や日常茶飯事だ。

万一、いかなる証拠を提示することなく、その人物が、アメリカ政府にとって脅威であると、行政府が判断すれば、いかなるアメリカ人でも、どこにいようと殺害する権利があると、オバマは主張している。そんな成文法はないのだが。アメリカ政府唯一の部門と益々化しつつある行政府の主観的意見を基に、アメリカ人の誰が、何処にいようと、殺害しうるのだ。他の“同格”二部門(訳者注:司法・立法)は“対テロ戦争”のもとでしぼんでしまった。

ワシントンは、一体なぜ、中東(サウジアラビア、バーレーン、カタールと首長国を除き)、アフリカ、イラン、アフガニスタン、ロシアや中国に民主主義をもたらそうと固く決意しながら、アメリカ国内では憲法で規定されている権利に強く反対するのだろう?

アメリカ人が18世紀にイギリス王ジョージ3世に対する革命を成功させて獲得した権利は、21世紀にブッシュ・オバマによって全て奪い去られた。これはニュースの話題になるはずだと思われる向きもあろうが、そうではない。

真理者が、それについて何か言ってくれるなどと期待してはならない。

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