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世界に冠たる法治国家とはどういう事であるか日本人は殆ど知らない様です

現在の日本は世界に冠たる「法治国家」であり、裁判は「法廷至上主義」で前回の「陸山会裁判」でも、検察調書は殆んど証拠採用されない状況で推認よる有罪判決が出され、また、今回の小沢裁判でも、証拠が殆ど却下された為に、状況証拠と推測を積み重ねた論告求刑が出され、その様な求刑でも有罪に出来ると云う一部の愚か者がいますが、その様な裁判は非常に危ういと云う事が今回の大阪・平野区の母子殺害事件の裁判で明らかに成りました。

今回の事件では、唯一の証拠と思われる72本のタバコを、警察は故意か過失か解りませんが紛失させ、森健充被告が吸ったとされる一本のタバコだけを残し、DNA鑑定で、犯人に仕立て上げようとした事が裁判所から断罪されました。この様に刑事事件では、物的証拠や供述証拠は非常に重要で、ただ状況証拠を積み重ねて有罪を求刑しても推認有罪は出来ないと云う法治国家の当然の判決を出しました。この中には遺族や市民目線国民感情と云うものは全く入っていません。

今回の裁判において、有罪の決め手は、検察官や裁判官の勝手な思いでは無く、客観的な証拠が重要と捜査当局にあらためて警告したものと思われます。

この事は、陸山会事件、小沢裁判でも同じ様な事が言えます。完全に決めてとなる証拠が無い中で、状況証拠を積み上げて推認で有罪の判決を出したり、論告求刑を出している事はとても危険であると警告している様に思えます。

また、本来世界標準の法治国家であれば、小沢裁判で明らかに成った、検察の捏造調書が発覚した段階で、裁判は即刻中止になっているはずです。特にアメリカでは捜査官が容疑者を脅迫したり、偽調書を作っていたことが発覚した場合は、裁判は即刻中止になっているはずです。また今回の陸山会事件の様に検事が供述調書の捏造を行った場合はメディアが大騒ぎし、容疑者はすぐに釈放されて、裁判も開かれません。

この場合、『容疑者が罪を犯したかどうかは関係ありません』違法な捜査が行われたことが分かった時点で、すべての証拠に信用が無くなり、起訴できないのがアメリカの大原則です。『米国法に詳しい中央大教授の藤本哲也氏(犯罪学)は「アメリカの司法制度は、捜査段階で違法に収集された証拠に対して極めて厳格です。証拠能力は認められないし、訴訟から徹底的に排除されます。仮に起訴するか否かが大陪審にかけられても、違法な証拠に基づいて起訴されるケースはほとんどありません」と語っています。

この様な大原則が有って始めて日本は世界に冠たる法治国家と言えるのではないでしょうか。

大阪・平野区の母子殺害事件:差し戻し審で無罪判決 地裁「入室認定できぬ」

(毎日新聞 年3月16日)
大阪市平野区の母子殺害放火事件で殺人と現住建造物等放火罪に問われた大阪刑務所刑務官の森健充(たけみつ)被告(54)=休職中=に対し、大阪地裁は15日、無罪(求刑・死刑)を言い渡した。水島和男裁判長は「被告が事件当日にマンションに赴き、室内に入ったと認定できない」と述べた。1審の大阪地裁は無期懲役、2審の大阪高裁は死刑を言い渡したが、最高裁は審理が尽くされていないとして差し戻していた。検察側は控訴するとみられる。
 
差し戻しが決まった後、最高裁が鑑定するよう促したたばこの吸い殻71本を大阪府警が紛失していたことが判明。水島裁判長は「紛失がなければ、差し戻し前の審理の帰趨(きすう)自体が別のものとなっていた可能性も否定できない」と付言をした。
 
この事件では直接証拠が存在せず、検察側は状況証拠を積み上げた。事件翌日に現場マンションの階段灰皿から採取された吸い殻72本のうち1本に付いた唾液が、森被告のDNA型鑑定と一致。この吸い殻を重要証拠と位置づけ、被告が事件当日に現場に行ったと主張していた。
 
弁護側は一貫して無罪を主張し「被告が被害者に携帯灰皿を渡したことがあり、被害者が事件前、被告の吸い殻が入った携帯灰皿の中身を階段灰皿に捨てた可能性がある」と反論した。
 
最高裁は吸い殻の変色から、かなり以前に捨てられた可能性があると指摘。残りの71本に被害者の吸い殻があれば、被害者が携帯灰皿から階段灰皿に吸い殻を捨てた可能性が高まるとして、DNA型鑑定を促していた。
 
検察側は差し戻し審で、警察官らを動員して喫煙実験を実施し、吸い殻は短時間でも変色すると反論。しかし、水島裁判長は「実験は専門家に助言を求めておらず科学的とは言いがたい」と一蹴し「被告の吸い殻は携帯灰皿を経由し、被害者によって捨てられた可能性が高い」と述べた。また、被告の靴に付着していた獣毛は被害者宅の犬と一致し、犯行の際に付いたものだとする検察側主張については、その犬が被告の弟宅に預けられた時期があり被告が被害者宅に入ったことを示すものではないと判断した。
 
状況証拠の課題突きつけ
 
大阪市平野区の母子殺害放火事件で最高裁が審理の差し戻しに当たって示した「状況証拠中に、被告が犯人でなければ合理的に説明できない事実関係が必要」という基準。このハードルを越える立証ができるかどうかが差し戻し審の焦点だった。 この基準は最高裁でも意見が割れていた。それでも基準をあえて示すことになったのは、状況証拠だけで有罪・無罪の判断を迫られる裁判員の負担に配慮したためだった。

差し戻し審が始まる時点から、検察側には大阪府警による証拠品であるたばこの吸い殻71本の紛失という足かせがあった。最高裁が促した鑑定が不可能になったことで森被告のDNA型と一致する吸い殻1本の補充立証、被告の靴に付着した獣毛などの立証に傾注せざるをえなかった。 水島和男裁判長は、こうした検察側の主張について科学的な疑問を示した上、最高裁の基準の表現を引用し「被告の犯人性を推認させるものとしては、強力な証明力はない」と判断した。
 
裁判で示された状況証拠が、有罪と断定できるほどの証拠なのか。差し戻し審判決は、そうした課題を捜査機関に突き付けており、及ぼす影響は大きい。

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