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大阪市長選リスト:捏造と告発者は同一職員 市議見抜けず

(毎日新聞3月28日)
大阪市交通局の非常勤嘱託職員が、昨秋の市長選に関して組合が作成したと見せかけるリストを捏造(ねつぞう)した問題で、この職員と、リストを大阪維新の会市議に告発した職員が同一人物であることが分かった。

職員の氏名が一致しており、告発を受けたとした維新の杉村幸太郎市議(33)も、同一人物だと認めた。維新市議団はリストを基に組合問題を追及してきたが、告発者の「自作自演」を見抜けなかったことになり、批判が強まりそうだ。
 
リストを捏造した30代の男性非常勤嘱託職員(非組合員)は調査に対し、「職場で紹介カードが配られているのを見てひどいと思った。正義感でやったが、とんでもないことをした」と話しているという。
 
市交通局や維新市議団によると、職員は今年1月23日の勤務時間中、業務用パソコンで人事データを基に偽のリストを作成。同28日に印刷したリストをスキャナーで読み取り、杉村市議にメール送信した。同31日には杉村市議の要望を受けて原本を郵送。杉村市議は2月6日にリストを公表した。橋下徹市長は今月27日、記者団に対し、「問題の指摘をするのが議員の仕事。市の職員が捏造したことは間違いないわけなので、議会の追及としては当然だ」と語った。 

この問題を厳しく指摘しています弁護士徳岡宏一朗氏のブログより転載します。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/9463e5e619aeeb62482ea1df165b370b?fm=entry_awc

2011年11月の大阪市長選の際、市交通局の職員情報を記載した「知人・友人紹介カード」配布・回収リストが作成されたとされる問題で、交通局は2012年3月26日、リストは同局の30代の非常勤嘱託職員の男性が業務上のデータをもとにねつ造した偽物と確認したと発表しました。
 
同リストは橋下徹市長率いる「大阪維新の会」に情報提供があり存在が発覚しました。そして、市長選で橋下氏と一騎打ちとなった当時の平松市長を支援するため、交通局職員でつくる大阪交通労働組合(大交)が作成されたものだと追及されていたものです。
 
この問題については、橋下徹市長が代表を務める「大阪維新の会」所属の杉村幸太郎市議が2012年2月、内部告発で入手したとして市議会などで「交通局と組合が組織ぐるみで市長選 に関与していたことを裏付けるものだ」と追及しました。
 
このリストは市長選で平松氏を支援した交通労組が作成したかのように主張したわけでが、これに対して大交は3月2日、「でっち上げだ」として無印公文書偽造などの容疑で容疑者を特定せず大阪地検に告発し、維新市議団も同14日に地方公務員法(守秘義務)違反容疑などで同地検に告発するという泥仕合になっていました。
 
結局、この件に限れば、維新の会の追及が全くの誤りで、このリスト問題は同労組に対するでっちあげ、完全なえん罪だったわけです。交通局は大交を被害者とした偽計業務妨害などの容疑で、この職員を刑事告発することを検討しています。
 
結果として、維新の会は犯罪行為に手を貸したことになるのです。交通局によると男性は2011年5月に鉄道事業本部の経理などを担当する特別嘱託職員として採用されたばかり人間でした。リストの基になったデータは「職員証発行対象者リスト」で、同局のサーバーに保存されていました。
 
このファイルへのアクセス履歴や男性のパソコンの操作履歴を解析した結果、男性がリストの一部を加工した上で「非協力的な組合員がいた場合は、今後不利益になることを本人に伝えてください」などの文章を付け加え、大交がリストを作ったように装って印刷したと判断され、職員本人もこれを認めました。
 
この職員と維新の杉村幸太郎市議とは2011年のダブル選挙前、維新の会が市内全24区で開いた区民会議で知り合ったそうです。以来、この二人はメールや電話で連絡を取り合い、組合が市長選期間中に配布した違法な選挙ビラなど複数の内部情報を提供していたとのことで、杉村市議もこのねつ造データはこの職員から持ち込まれたものである事を認めました。
 
しかも、この職員は3月24日に開講した維新政治塾に応募していました(市職員であるということで書類選考で落選)。

橋下市長は3月26日、報道陣に「市交通局の中で捏造問題があり、市民にお騒がせしたことは大変申し訳ない。これは組合がやったことではない」と認めました。
 
一方、市議会で同リストの存在を取り上げた杉村幸太郎議員や所属する「大阪維新の会」の責任については「『維新の会』にも杉村議員にも何の問題もない」とかばい立てしています。市長としては部下の職員の行為は申し訳ないけれども、この問題を追及した維新の会代表としてはなにも問題がないというわけです。
 
また「議会の指摘があったからこそ捏造問題が明らかになったという意味で、議会としては健全だ」とし、全く問題はないとの姿勢を示しています。しかし、 この問題が発覚したのは、市交通局が調べたからで、市議会、とりわけ、維新の会のチェック作用、自浄作用は何ら機能しなかったわけです。

2012年2月に「知人・友人紹介カード」が“発覚”した時、橋下徹市長は「しっかり調査したい」と述べ、市特別顧問の野村修也弁護士に指示していました。しかし、橋下維新の会と市議と特別顧問は、労組の行為を追及するばかりで、自分たちが根拠にした肝心の「証拠」の真実性の問題は全く見抜けなかったのです。

今になって、橋下市長は「法律家としてはちょっと危ないと感じていた」というのですが、全くの言い訳です。また、危ないと感じていながら特段の手も打たないままでいた過失はかえって重大です。

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