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偽善に溺れて

(Paul Craig Robertsウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者)

アメリカ政府は、独善に満ちる余り、偽善のパロディーと化している。元下院議員で、オバマがCIA長官に任命し、現在ペンタゴン長官であるレオン・パネッタが、航空母艦エンタープライズ号の海軍兵士達に、イランに海軍力を誇示し、“外交によって交渉をしようとするほうが自分たちのためになる”とイランを説得するべく、アメリカは11隻の航空母艦の艦隊を維持しているのだと演説したばかりだ。

イランに対処するのに航空母艦が11隻必要なのであれば、ロシアや中国に対して力を誇示するのに、パネッタには一体何隻必要なのだろう? 閑話休題、主題に戻るが、イランは“わが国と外交を通して対処”しようとしている。ワシントンの対応は、イランが核兵器を製造しているという、事実無根で、いい加減な理由による、軍事攻撃、経済制裁と石油禁輸という攻撃的脅迫だ。ワシントンの非難は、イスラエルの非難に同調するものだが、ワシントン自身の諜報機関や国際原子力機関によって否定されている。ワシントンは、なぜ外交という上品なやり方で、イランに対応しないのだろう。実際、二つの国のどちらが、平和にとって大きな脅威だろう?

ワシントンは、平和活動家達の自宅を捜索するため、FBIを派遣し、大陪審に、ワシントンの戦争に反対して、曖昧模糊とした敵を支援しているという事件を、平和活動家達に対してでっちあげさせようとしている。穏やかなウオール街占拠・抗議行動参加者に対し、国土安全保障省は、ならず者暴漢警官に残忍な仕打ちをさせている。ワシントンは、ブラッドリー・マニングや、ジュリアン・アサンジや、タリク・メハンナに対し、事件をでっちあげているが、これは言論の自由をテロやスパイ行為と同一視し、米憲法修正第1条で保障された権利、表現や宗教の自由を否定するものだ。シカゴ知事で、オバマ・ホワイト・ハウスの元大統領首席補佐官ラーム・イスラエル・エマニュエルは、シカゴ市での大衆抗議行動を禁止する条例を押しつけている。こうしたリストは延々と続く。しかも、そうした物事のさなか、ヒラリー・クリントン国務長官や他のワシントンの偽善者連中は、反体制派を弾圧しているとロシアと中国を非難している。

ワシントンのグロテスクな偽善を、アメリカの“メディア”や、共和党大統領候補指名討論は全く触れない。腐敗したオバマ“正義(=司法)”省が見てみないふりをしている間に、ならず者暴漢警官どもは、ならず者暴漢警官’に過分の給料を支払っている国民に対し、いわれのない暴力を振るっている。
だが、ワシントンが最大の偽善を表したのは、戦犯法廷劇場でのことだ。ワシントンの独善的偏屈者連中は、永遠に、内戦に苦しめられた弱小国家の元首を取り押さえ、戦犯として裁判を受けさせるよう送り出す。その間ワシントンは、6ヶ国以上で、多数の民間人を見境なく殺害しながら、自らの戦争犯罪は“巻き添え被害”だとして免責する。人々を拷問しているワシントンは、アメリカの法律にも国際法にも違反している。

2012年1月13日、マクラッチー新聞のキャロル・ローゼンバーグは、スペインの判事パブロ・ラファエル・ルス・グティエレスが、グアンタナモ監獄の囚人に対するワシントンの拷問に関する調査を再開したと報じた。前日、イギリス当局は、CIAが、拉致した人々を拷問するため、リビアに移送していることについての取り調べを開始した。

ブッシュ政権の明白な犯罪を調査することを、オバマ政権は拒否しているが、オバマ政権自身の明白な犯罪を追加する人もいるかも知れず、“ブッシュ時代の対テロ行為が国際法に違反しているのかどうかを決定することに、他の国々は依然として関心を持っている。”とローゼンバーグは報じている。
ブッシュ/チェイニー/オバマが、アメリカ憲法と、アメリカの成文法と国際法を捨て去ったことに疑問の余地はない。だがワシントンは、正義を覆し、力は正義なりだと規定したのだ。軍隊をアメリカに送り込んで、戦犯を引きずり出し、裁判にかけようという政府など存在しない。

ハーグの国際戦犯法廷は、ワシントンの見せしめ裁判用に用意されたのだ。ワシントンのむき出しのセルビア侵略を正当化するのに必要な見世物を戦犯法廷で仕立てるため、アメリカが、セルビアからミロシェヴィッチを連れ出したようなやり方で、ブッシュ、チェイニー、オバマや、連中の手先を、自分たちに引渡してもらうため、ワシントンに数億ドルを支払うような外国政府など存在しない。

あらゆる政府は人間が、特に、権力と儲けに強く惹かれる人間達が作っているのだから、完璧な政府はありえない。とは言うものの、私は目の黒いうちに、アメリカ合州国の政府の品格の驚くべき劣化を目の当たりにする羽目になった。アメリカ政府が言うことは、何も信じられないという所まできてしまったのだ。失業率も、インフレ率も、GDP成長率さえも信じられないのだから、まして戦争や、警察国家化や、外交、国内政策についての、ワシントンの口実など信じられようか。

ワシントンは、十年間、アメリカに戦争をさせ続け、何百万人ものアメリカ人が仕事や家を失った。戦争と低迷する経済が国家負債を爆破し、迫り来る破綻は、社会保障とメディケアのせいにされている。
戦争を求める動きは続いている。1月23日、ワシントンの卑屈な傀儡連中、つまりEU加盟諸国は、EU加盟国であるギリシャの懇願にもかかわらず、ワシントンの命令通り、イランに石油禁輸を課した。ギリシャ政府が理解している通り、ギリシャの最終的破産は、禁輸による高い石油価格によってひき起こされる。
禁輸は無謀な行為だ。もしアメリカ海軍が、イランの石油を運ぶタンカーを阻止しようとすれば大規模な戦争が勃発しかねない。それがワシントンの狙いだと多くの人々は信じている。

禁輸は、戦争行為である封鎖へとたやすく変化する。アメリカとそのNATO傀儡諸国によって、国連安全保障理事会によるリビア上空の“飛行禁止空域”が、いかにたやすく、リビア国軍とカダフィ支持者が密集する地域への軍事攻撃に変化したかを想起されたい。

西欧“民主主義”が益々無法になるにつれ、帝国主義がかぶっている法律という仮面がはぎ取られ、それと共に、覇権への野望を覆い隠すのに使われてきた倫理の輝きもはぎ取られた。イランが包囲され、ペルシャ湾に二つのワシントン艦隊がある状況で、次ぎの侵略戦争は不可避に見える。

専門家達は、アメリカとNATOによるイラン攻撃は世界が必要としている石油の流れを混乱させると言っている。覇権に対する抑え難い狂った欲求の余り、ワシントンと、そのEU傀儡諸国には、急激に高騰するエネルギー価格というリスクに、自らの四苦八苦する経済をさらすことへの躊躇は皆無のようだ。
外国での戦争と国内での緊縮経済とが、西欧“民主主義に課されている政策だ。”

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