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携帯電話の周波数オークションの導入についての面白い記事を見つけました

携帯電話の周波数オークションの導入についての面白い記事を見つけました。

孫社長は、政府の行政刷新会議(議長:野田佳彦首相)がこの日の朝、東日本大震災の復興増税に伴う国民負担を軽減する狙いで打ち出した携帯電話の周波数オークションの導入前倒し方針に抗議したかったらしい。
 
総務官僚が裁量的に割り当てる従来の方式ならば、ソフトバンクが格安のコストで周波数を取得できるとみられていたのに、事態が急変し、孫社長が焦ったのではないかというのだ。実際、孫社長は直後のぶら下がり会見でも方針変更への不満をぶちまけた。
 
このところ、新たな経営の柱として取り組み始めた再生可能エネルギーの振興だけでなく、本業の携帯電話事業でも、すっかり政商ぶりが定着した感のある孫社長。民主党の落選議員を天下りで受け入れて以来、その我田引水の主張はとどまるところを知らない。軌道修正しないと、まともな経営者として尊敬される日は来ないのではないだろうか。
 
携帯電話の周波数オークションとは、文字通り、携帯電話サービスに必要な電波の配分にあたって、競争入札を行い、その結果に従って電波を割り当てること。事業者のビジネスモデルの優劣を総務官僚が裁量的に判断する、現行の「比較審査方式」(ビューティコンテスト方式)と違うのは、何と言っても透明性が高いことにある。加えて、多額の税外収入が期待できることもあり、先進国クラブの異名を持つOECD(経済協力開発機構)の加盟国(34ヵ国)を例にとると、すでに31ヵ国が導入を済ませている。

2000年代初頭のITバブルの際に、欧州で入札価格が高騰し、一部の事業者が経営難に陥ったこともあるが、その後、行き過ぎは解消されており、いったんオークションに移行した国でオークションを放棄した国はない。つまり、国際的には当たり前の仕組みとなっているのだ。国内の事業者の間には、サービス価格が上昇する懸念があるという。が、サービス内容や料金プランが異なるため単純比較はできないが、実際に導入した国では、サービス価格が実質的に下がった例もあるとされている。というのは、既存のライバル会社との競争が存在するため、安易な料金引き上げはできないからだ。
 
むしろ、料金の低廉化もあわせて実現するため、積極的にイノベーション(技術革新)を取り込むきっかけになると話す専門家も少なくない。何より、我が世の春を謳歌し、巨額の利益をあげている携帯電話業界ならば、かなりの部分を企業努力で吸収できるとの見方も少なくない。
 
当の総務省でさえ、公式にはオークションへの移行への必要性を認めている。過去数年にわたって、今回、3.9世代携帯電話用に開放する900、700MHz帯の3社分に周波数の割り当てでは、「移行に必要になる時間的な余裕がない」と繰り返す一方で、その次の第4世代携帯電話用からは「オークションに移行することが適当だ」として、近く、そのための電波法改正案を提出すると説明してきた(実際には移行への法改正は必要なく、改正論議は時間稼ぎとの見方も多い)。
 
しかし、過去数ヵ月、そうした公式説明の裏で、総務官僚たちが進めていたのは、民間から資金を吸い上げて、その資金を、OB官僚の天下り団体で山分けするという信じ難いプランだった。総務省が10月下旬に公表した割り当て方針(「開設指針」と呼ぶ)によると、割り当てを希望する携帯電話会社に最大で2300億円の資金負担を求めて、6人の常勤理事のうち3人を総務官僚OBが占める「移動無線センター」に270億円を配分することなどを目論んでいたのだ。それ以外も同省と関係の深い無線機メーカーなどが巨額の収益を見込める仕組みとなっている。
 
ここに来て、こうした実態を把握した民主党政権は、放置できないと判断、それまでの総務省任せの姿勢を大転換することにした。震災復興資金も必要とあって、年間に1兆円から4兆円程度の実績をあげた英国や米国の例も勘案して、冒頭で触れた仕分けの際に、周波数オークションを3.9世代の割り当ての際から前倒しで実施する方針を決定したのだ。ところが、総務官僚たちには、これまでのプランへの反省の色もなければ、是正の考えもまったくない。
 
むしろ、政権交代以来、あれだけ話題になりながら、仕分けには法的な強制力がないことをよいことに、前倒し方針を潰す方向で暗躍している。具体的には、野党・自民党や携帯電話事業者を使って、当面の対策として、オークション導入を第4世代携帯電話に先送るという既定路線を押し通したうえで、将来は、民主党政権の崩壊を前提に周波数オークションを完全に葬る戦略というのだ。

実際のところ、国会では早くも、民主党政権の方針転換を槍玉にあげた議員がいる。24日の衆議院総務委員会で質問に立った自民党の総務部会長兼シャドウ・キャビネット総務大臣の平井卓也議員(香川県第1区)がその人だ。同議員は自身のブログでも「『茶番劇』がまた実施された。そもそも、民主党政権の政策を同じ民主党政権の行政刷新会議が『仕分け』すること自体、パフォーマンス以外の何物でもない」などと扱き下ろしている。
 
しかし、国民共有の財産である周波数を私物化するような総務官僚の行為を目の当たりにして、方針転換することが「茶番」にあたるだろうか。菅直人首相時代の民主党政権の判断の未熟さは看過できないと何度も批判してきた。だが、今回のように間違いに気付いて、真摯に修正しようとする姿勢や、東日本大震災と言う未曾有の危機に直面して新たな税外収入の確保を目指す努力を否定する気は毛頭ない。
 
むしろ、自民党の論理こそ、あまりにも狭量な議論であり、抵抗勢力による抵抗の正当化の論理と言わざるを得ないのではないだろうか。長期政権時代に、総務官僚と2人3脚で周波数の割り当てを利権化してきただけに、自民党では、今なお、裁量余地のないオークションへのアレルギーが強いとみてよさそうだ。
 
自民党では、総務官僚の入れ知恵で「電波法には外資規制がないから、中国企業などが高値で入札してきたら、拒否できない」といった論陣を張る準備も進んでいると聞く。こうした主張は、過去に、自らが政権を担当していた時代に、英ボーダフォンが携帯電話会社を所有し、サービスを展開した実績、通信市場の対外開放・国際化を推進してきた事実すら無視する、時代遅れのナショナリズムとみなさざるを得まい。
 
もうひとつ。総務官僚が熱心なのは、オークションでは電波の取得コストが高騰するばかりか、入手できる可能性も小さくなる、と事業者を脅し、反対運動を展開させる戦略だ。総務省に対して立場が弱い事業者の中には、「個人的には、オークションになれば、総務官僚の顔色をうかがう必要がなくなり、市場が健全化すると信じているが、会社としては総務省に逆らえない」と深刻な悩みを打ち明けるトップ経営者が少なくない。
 
ただ、孫社長の場合、そうした経営者とは様子が大きく異なっている。よほど、自らの政治力の強さに自信があるのだろう。むしろ、孫社長の方が、総務省に圧力をかけるのを好む傾向があるのだ。最近の決算発表の席でも、周波数を取得できなければ「行政訴訟も辞さない」との趣旨の発言を行い、行政訴訟を嫌う総務官僚にプレッシャーをかけたという。同社広報室は、「本当に訴訟するという意味ではない。それぐらい熱い思いを込めて取り組んでいるという、例えだ。勇み足に聞こえたら、申し訳ない」と、その発言の火消しに躍起になっていた。
 
実際、3.9世代からオークションが実施されれば、ソフトバンクが取得を切望し、関係者の間では、その取得が確実視されていた900MHz帯の周波数に、NTTドコモやKDDIが名乗りをあげ、ソフトバンクが目論み通り取得できない恐れが出てくる。仮に取得できたとしても、そのコストは、総務官僚が吸い上げようとした2300億円にとどまらず、2~3倍に跳ね上がることも確実という。数千億円単位のコストの節約が可能ならば、算盤に長けた孫社長がなりふり構わずロビイングを展開しようとするのも無理からぬことなのかもしれない。
 
しかし、だからと言って、政治力や訴訟という手段にものを言わせて、総務官僚になりふり構わず圧力をかけるのはまともな経営者の振舞いとは言えないだろう。加えて、記者会見などにおける「オークションにするならば、過去に遡ってオークションにしろ」とか、「放送用の周波数もオークションにしろ」といった発言も常軌を逸している。世界にも例のないような極論を展開するのは、我田引水が過ぎると顰蹙を買う行為だ。
 
そもそも孫社長が競争を主張して通信事業に参入してきた経緯を考えれば、競争そのものの周波数オークションを怖がるのは筋が通らない。孫社長は胸に手を当てて、自らの言動を思い起こしてみるべきだ。
 
オークションに話を戻すと、総務官僚にまったく改善しようという兆しがみられない以上、これ以上、周波数問題を、総務省に委ねるという判断自体が間違いだろう。開設指針を見直して、3.9世代携帯電話からオークションを導入するためには、第3者に強力な権限を与え、通常の国有地払い下げのスキームなども活用しながら、早急に実施策を練る必要がある。野田佳彦首相には、復興財源の確保のため、一刻も早い首相判断が求められている。

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