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検察審査会は非公開であるにも関わらず簡単に審査会の状況を語る吉田弁護士は全く信用出来ません

森ゆうこ議員は、 朝日新聞に審査補助員の吉田弁護士の記事について、検察審査会は非公開であり、情報公開請求をしてもなかなか情報開示されなかったにもかかわらず、一方的に審査の状況を審査補助員がマスコミに語っていることは非常に問題であると語りました。

一部の国民はこの吉田弁護士の発言を大変喜んでいる様ですが、検察審査会から発表された事は何回も変わった有り得ない平均年齢だけです。

議事録や審査員の生年月日などは検察審査会が非公開の原則を盾に、全く公開されないにも関わらず、そこに参加していた吉田弁護士がその審査会の様子を簡単に話す事は,この弁護士は全く信用が出来ないと云う事です。

 陸山会裁判の判決要旨を読んで気がついた事を述べている記事を転載します(山口一臣)

今回の判決の決定的な矛盾は、1億円の〝裏献金〟に関するものだ。裁判官は、水谷建設元社長、川村尚氏の「胆沢ダム工事の下請けJVのスポンサーとして参入したい旨を大久保秘書(当時)に陳情し、その見返りに1億円(5000万円×2回)を小沢側に手渡した」という証言と、現金を手渡した当日のホテルの領収書があることなどを根拠に、小沢事務所がダム工場受注に便宜をはかる見返りに1億円の裏献金を受け取ったと認定している。

判決は、ホテルのレシートを〈客観的証拠〉などと評価しているが、レシートはあくまでも元社長がその日、ホテル(六本木の東京全日空ホテル=当時=)にいたという証拠にすぎず、元社長が小沢側に現金手渡した証拠でないのは言うまでもない。
 
それはさておき、裁判官は西松建設事件において〈(小沢事務所は)岩手県や秋田県では、公共工事の談合におけるいわゆる本命業者の選定に関して、小沢事務所の意向が決定的な影響力を持っており...〉と断定している。
 
もしこの裁判官の認識と川村元社長の証言が真実ならば、水谷建設は1億円の裏献金の見返りに胆沢ダム工事の「下請けJVのスポンサー」になっていなければならない。ところが、結論からいうと水谷建設は「下請JVのスポンサー」にはなっていない。

ここでいうスポンサーとは幹事社のことで、一般の下請けに比べ利益率が格段にいいとされる(とはいえ5%くらいか?)。水谷建設は幹事社の下の一般下請での受注はしているが、幹事社にはなれなかった。 1億円もの巨額の裏献金をしながら、結局、希望はかなえられなかったということだ。
 
この事実から何が導き出されるかというと、「岩手県の公共工事では小沢事務所の意向が決定的な影響力を持っていた」という裁判官の認定が誤りだったということか、もしこれが誤りでなければ「1億円の裏金授受」の事実はなかったということだ。私はこの両方とも、裁判官(大元は検察官)の邪推に基づく妄想だと考えるが、いずれにしても裁判官の認定には合理的な矛盾がある。
 
小沢事務所が公共工事の本命業者選定に決定的な影響力を持っていて、陳情の結果としての1億円の裏献金が本当にあったとしたら、水谷建設が胆沢ダム工事の下請けJVのスポンサーになっていなければおかしいからだ。
 
水谷建設・川村元社長にすれば、会社のカネを1億円も支出しながら、希望どおりの受注が得られなかったのだから、社内での立場をなくしただろう。公にできないカネなので、大久保元秘書を詐欺で訴えるわけにはいかないだろうが、何らかのおとしまえを求めて詰め寄ったはずだ。しかし、裁判官らがそうした事情を考慮、検討した形跡は見られない。
 
それだけではない。新聞報道等から拾った数字で恐縮だが、胆沢ダムの総事業費は約2440億円あり、水谷建設はこのうち鹿島JVが約203億5000万円で受注した堤体成立工場(第1期)と大成建設JVが約159億円で受注した原石山材料採取工事(第1期)の下請け(幹事社ではない)として約34億円分の工事を受注している。仮に利益率5%で計算すると、水谷建設の利益は約1億7000万円ということになる。単純に考えて、1億7000万円の利益を得るために1億円もの裏金を使うだろうか。もちろん、将来への実績づくりの布石であったり、とにかく売上を立てなければならない都合があったりなどの事情も考えられる。

しかし、いずれにしても裁判官が認定した「1億円の裏金の授受」については経済性の観点から合理的な疑いをはさむ余地がかなりある。しかし、この点についても、裁判官が考慮、検討した形跡は見られない。
 
次に、裁判官が大久保元秘書らが受け取ったと認定した5000万円の現金はどこへ行ってしまったのだろうか。1993年の金丸事件のように、小沢事務所の家宅捜索で〝たまり〟として発見されたという話は聞かないし、大久保氏らが金融機関に入金したという情報もない。では、陸山会の土地購入のために小沢氏が用立てた4億円の原資として使われたのかというと、これは以前指摘したように、日付が合わずあり得ない。

すなわち、小沢氏が石川知裕秘書(当時)に4億円を渡したのが2004年10月13日であるのに対し、裁判官が認定した最初の現金授受の日付は10月15日で、2回目は翌05年4月19日なので、4億円の原資に水谷マネーが含まれるという主張には根本的な矛盾がある。
 
では、現金はどうなったのか。もし、裁判官ら言うように現金の授受が本当にあったとしたら、例えば1回目に大久保氏の代わりに受け取りに行ったとされる石川氏はうけとった現金をどう処理したのか? 大久保氏に手渡したのか? 事務所の金庫に入れたのか? あるいは秘密の隠し場所があるのか? まさか受け取ったとだけで消えてなくなってしまったというわけではあるまい。
 
消えてしまったという意味では、小沢事務所側の受け取り人である石川氏か大久保氏が個人的に着服してしまった可能性は考えられないか? ああるいは水谷建設側の川村元社長に事情があって着服した可能性はどうだろう? 過去の贈収賄捜査でも、途中で賄賂(裏金)の運び役が相手に渡さず着服してしまったことがわかり、立件できなかったというケースは少なくないという。にもかかわらず、裁判官がこうした可能性について検討した形跡はみらてない。
 
素人が考えても気がつく矛盾や可能性について、裁判官は検討することもなくすべて検察側の主張には沿った認定をしている。なぜなのか?
 
おそらくは、まともに検討をすれば都合の悪い(検察にとって)結論が出ることがわかっていたからではないか、と私は疑っている。私のような大雑把な人間でも分かる矛盾を、緻密であるべき裁判官が気づかないはずがないからだ。
 
裁判官は知っていながら故意に過った認定を繰り返したと言わざるを得ない。司法の劣化は深刻だ。
 

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