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小沢さんは無罪か 田原総一朗

田原総一朗 公式ブログ を始めてみましたが、そこには意外な記事が書かれていました。

小沢さんは無罪か

10月6日、小沢一郎さんの初公判が東京地裁で始まった。小沢さんは、「私が罪に問われる理由はまったくない」と述べた。全面無罪の主張である。

そして、約8分にわたって熱のこもった意見陳述を行った。西松建設の政治献金に絡み、小沢さんの公設第1秘書の大久保隆規氏が逮捕されたのは2009年3月である。大久保氏は、陸山会の会計責任者を務めていた。当時、衆院総選挙を間近に控えていた。民主党の政権獲得をかけた、まさに「天下分け目」の戦いであった。そして、この時、小沢さんは民主党代表だった。

小沢さんにしてみれば、その大事な選挙を目前にして、民主党代表である自分の秘書を逮捕するとは、明らかな選挙妨害であった。だから、小沢さんは意見陳述で、「検察という国家権力機関が、政治家・小沢一郎個人を標的に行ったものとしかえようがありません」と述べたのである。

また、次のようにも主張している。

「総選挙の行方を左右しかねない、恣意的な権力の行使が許されるとするならば日本はもはや民主主義国家とはいえません」小沢さんの強い怒りがよくわかる。

この初公判に先んじて、小沢さんの3人の元秘書に対する判決が、9月26日に出た。東京地裁は有罪を言い渡した。小沢さんに対して、これまで事情聴取は行われたものの、物的証拠がないために不起訴となっていた。

それなのに9月26日の判決では、元秘書らが共謀したとする外形的な事実を認定し、それを有罪の根拠とした。物的証拠なしに「推認」による有罪と断定したのである。相当踏みこんだ判決だと思われた。
ところが、小沢さんの初公判では、この裏金問題はまったく出てこなかった。

さらに、3人の元秘書が関わったとされる水谷建設問題も触れられなかった。僕は、元秘書3人に対する有罪判決を聞き、「これは小沢さんを有罪へと持っていくのではないか」という印象を一時は持った。
しかし、小沢さんの初公判の冒頭陳実をよく読み、その後取材を重ねてみたところ、小沢さんの裁判と元秘書の裁判とはまったく別のものである、という思いがしてきた。

僕は、陸山会の土地取引をめぐる小沢さんへの検察の捜査には最初から違和感を抱いていた。

小沢さんを何としても有罪にしたい。

いわゆる「検察の正義」を振りかざし、遮二無二に捜査を行っているように感じられたからだ。
検察は過去に何度も「検察の正義」にこだわってきた。田中角栄さん、江副浩正さん、そして堀江貴文さんの事件である。ところが2010年9月、厚労省の村木厚子さんに無罪判決が出され、検察の違法な捜査を疑問視する声がかつてないほど高まった。

「『検察の正義』の矛盾」が露呈した事件だったと言ってよい。今回の初公判は、2回不起訴とした東京地検特捜部に替わって、裁判所が指定する弁護士が検察官役となっている。検察審査会が、強制的に起訴すべきだとする「起訴議決」を決めたためである。つまり、「小沢という政治家は悪いやつだ。だから有罪にしなければならない」という、およそ客観性のない、検察というプロフェッショナルによる捜査は
2度とも不起訴になった。

それを、プロフェッショナルでない人たち、つまり裁判所によって選出された検察審査会が、2度にわたり「起訴相当」と判断したのである。だから、「検察の正義」を振りかざして何が何でも「有罪」に持ち込むという検察は、法廷にはいない。

小沢さんの初公判を傍聴したジャーナリストの江川紹子さんは、そのことを踏まえて、「初めてまともな裁判が行われた」という印象を持ったそうである。来年4月まで裁判は続く。僕は、これまで一貫して「小沢氏無罪」を主張してきたが、もしこのまま「まともな裁判」が行われるのであれば、僕はやはり「小沢さんは無罪になる」と考える。

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