辞任した鉢呂元経産大臣と北海道新聞のインタビュ-記事
北海道新聞に辞任した鉢呂元経産大臣のインタビュ-が載っていましたので転載します。
福島第1原発視察をめぐる一連の不適切な発言が批判を浴び、鉢呂古雄衆院議員(道4区)が10日に経済産業相を辞任してから1週間たった。
わずか9日で辞任に至った経緯や、担当の原子力政策と環太平洋連携協定(TPP)をどのように進める考えだったのか、鉢呂氏に聞いた。
原発周辺自治体を「死の町」と表現したのはなぜですか。
「視察場所は、原発事故後に避難命令を受け、住民がいないまま、草だけが生い茂っていました。まるで時間が止まったように思え、私には『死の町』という言葉しか思い浮かばなかった。その後、不適切だったと気づき、謝罪、撤回しました」
「放射能をうつす」という趣旨の発言については。
「視察した夜、議員宿舎に帰ると記者が5、6人いた。当日の積算放射線量が85マイクロシ-ベルトだったという話をしたのは確かだが、『うつす』と言ったか正確に覚えていない。ただ、福島県民に不信の念を抱かせたのは事実。あらためておわびしたい」
辞任はいつ決断しましたか。
「10日夜に野田佳彦首相と会い、辞意を伝えましたが、(発言が報じられた)9日夜には辞任する腹を固めていました。報道は『福島県民に失礼だ』という論調一色になっていましたから。辞任後は逆に激励を受けることも多く、救われた気持ちにもなりましたが、今でも被災地のみなさんには申し訳ないと思っています」
どのような姿勢で原子力行政に取り組もうとしましたか。
「原発の『推進・反対』の二極化で思考停止せず、10年後、20年後にどういうエネルギーの組み合わせにすベきか、検討に入ろうとしていました。ただ、推進派から『鉢呂は脱原発』と警戒されていたと聞きます。頼んだ資料を出さないなど、経産官僚の抵抗も感じました」
実際、経産相の諮問機関に原発に批判的な委員を入れようとしました。
「政府のエネルギー基本計画を見直す『総合資源エネルギー調査会』は、原発推進派が大勢でした。推進、反対が半々でなければ国民理解は得られない。反対派の侯補リストは枝野幸男経産相に引き継いだので、生かしてくれることを期待しています」
TPP交渉参加への取り組みは。
「まず国内で意思統一を図ることが大切だと思い、経産相就任後、ひそかにJA全中と全漁連を訪ね、円高で苦境に立つ製造業と相互利益を図る道が探れないか、議論に加わってほしいと求めました。
日本の主張が受け入れられなければ、TPPに参加しなければいいが、少なくとも国内の議論は尽くしておきたいと思いました」