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日本を少子高齢化の状態に陥らせたのは自公政権と云う事を忘れて民主党を非難していますがその自民党の実態を述べた野田聖子衆院議員のインタビューです

自公両党は民主党の子供手当や高校無料化をバラマキ4Kと批判していますが、この日本を少子高齢化の状態に陥らせたのは、自公政権と云う事を忘れている様です。
その実態を述べた長文の野田聖子衆院議員インタビューを転載します。

自民党が少子化を加速させた自民党・野田聖子衆院議員へのインタビュー

2006年から少し反転したとはいうものの、自民党政権時代、長い間少子化が進み続けたのはなぜでしょうか?
野田 少子化って、今も日本の中心的な課題ではないですよね。言葉は頻繁に出るけれど、少子化担当大臣が単独で権限を持っているかというとそうではない。国会で、子ども手当のいやらしさについての議論はあっても、少子化全般への議論をしているわけではない。経済界でも、取り組んでいるのは大企業の一部です。
 
肝心なのは企業の9割を占める中小・零細企業ですが、ここでまったくやっていない。大企業だって経団連・経済同友会で女性の幹部はゼロですから、口では色々言うけれど、心ここにあらずでは、というのが私の実感です。10年前に比べれば、男の人も少子化を口にするようになったという程度です。自民党は本気の少子化対策には邪魔な政党だった。この問題については、世代間の価値観の差も激しいですね。
私なんか、上の世代の価値観を押し付けられる政党にいるので、死にそうですよ(笑)。
 
この国はずっと、自分の子どもは自分の家で育てろという価値観でした。何より、子どもには票がないけれど、高齢者には票がある。社会保障費で、これまで高齢者に使ってきたお金と子どもに使ってきたお金を見てください。あまりに違う。少子化対策なんてしていないに等しい。パイの大きさの差で言うと、児童向けはほとんどおまけレベルですから。

この国は年寄り天国です。でもそういう認識が国民にもなく、子どもにほとんどお金を使っていないことは、広く知られてこなかった。
 
子ども手当は、政権交代の導火線の1つでした。過去10年、自民党は若年対策をしていなかったし、子どもを産みたい人に対するエールもなかった。政権交代は仕方がない。悔しいけれど私も、頑張っても抜本的なことは出来ませんでした。
 
自民党が与党のままだったら少子化対策は破綻していたから、民主党のお手並み拝見です。本気で少子化対策をするには自民党は本当に邪魔な政党でした(笑)。自民党の根本思想は、「(少子化は)女性のせいだ」というものです。

経済との関連性などが分析できていなかった上、少子化でもしばらく経済成長率が下がらず、ずっと右肩上がりで来た。それを経験してきた自民党は「少子化が経済を傷めている」という認識を持たずにきた。だから、単なる女のわがままだと考えたのです。
 
少子化が国を破綻に導く要因の1つだという発想に、なかなか切り替えられなかった。ただ、日本の社会保障の負担は若い人依存なので、それが維持できないのが恐怖になってきました。

「少子化は女性のせい」という意識は、日本の今の意思決定層の年代に蔓延していませんか。
 
政治だけでなく、経済界すべての業界に及んでいます。でも長寿国家ですから、その人たちがいなくなるのを待っていられません。待っていたら、子どもがますますいなくなる。だから、今どうにか頑張らなくてはいけない。
 
子ども手当は今いる子にあげるお金ですが、少子化は子どもを増やす必要がある。子ども手当では子どもは増えないでしょう。高学歴・高所得の女性から生まれにくいのが日本の特徴で、そこが一番の問題点なのに改善されない。

フランスは子ども手当の前に、結婚制度を変えた
 
フランスでは子ども手当をあげたら子どもが増えた、と鳩山総理は言っているけれど、フランスではその前に結婚制度も変えた。子どもを作るのに結婚ありきではなくなり、恋人でも同棲でも嫡出子としての権利を与えるので圧倒的に増えた。 フランスで生まれている子どもの4割が法律上、シングルマザーです。日本は1~2%。この差が大きいことが分かっていない。
 
少子化対策は、「ありとあらゆること」をしなければだめだと思っています。夫婦別姓はその「あ」程度です。自民党政権では、それすらだめでしたから。

夫婦別姓は、少子化対策でそんなに大きいファクターなのですか?
 
結婚の多様化を進める要素です。ようは、この国は結婚しないと子どもを産まない国で、子どもを生む大前提は結婚です。しかし結婚は同姓でなければいけないというルールから外れた人もいるわけで、そういう色々な結婚の形を認めることは、恒常的に子どもの数を増やす可能性がある政策なのです。

結婚しなくても子どもを産んでも大丈夫なら、インセンティブになると思います。結婚しない限り子どもを産まないのなら、結婚の多様化を考える。フランスもそれで子どもが増えた。日本では今でも、シングルマザーだと少し白い目で見られる。それがフランスにはなく、むしろ主流です。
 
今は理屈じゃなく、ありとあらゆる手立てを使って、去年より1人でも子どもを増やす努力をしなければいけない。例えば私もかかっていた不妊治療は、助成金が出ます。でも体外受精児は新生児約100万人のうち年間に2万人弱です。

一方、1年間の中絶件数は公称で20数万人と言われています。保険適用外なので実際には2~3倍近い堕胎があるのではないかと、NPO(非営利団体)法人などが言っています。変な話、これを禁止したら、産まざるを得ない人が出てくる。

しかし保育園がないとか、仕事と両立が大変とかで、産む前から怖気づいてしまう面もあります。そこで一部の企業では今、大量に辞められるリスクがあるので、子育て支援に取り組み始めていますね。
 
ファミリーフレンドリー(※)はもはや義務にする必要がありますね。
※従業員が、仕事と育児・介護などの家庭責任を両立させながら働くことができるよう様々な施策を実施すること
 
最初は大変かもしれないけれど、結果としていい人材を残すことで、生産性が上がればいい。米国の大手企業なんて当たり前で、いい人材のために託児施設なければ始まらないという考えです。特にIT(情報技術)系企業に多いです。その意味では、企業内保育所も増え、5年前に比べれば日本の大企業も少しずつですが変わってきました。

そうですね。地方の中小企業でも共同組合形式などで、同じ地域の企業体がお金を出資し、そこで働いている人が使えるものにしたらいいのではないでしょうか。
 
働く女の人が、子どもが生まれ、子育てとの両立ができなくなって辞めると結局は失業保険をもらう。それだったら、雇用を維持してもらった方がいい。そのお金を集積させ、保育施設を10社で1カ所程度つ。

支える人に報われるオプションを
 
現場レベルの意識改革も必要です。いざお腹が大きくなって休めるようになっても、現場では独身の女性に負担がかかり、軋轢が生まれる。それは上司や経営者の責任です。負担を引き受ける社員にはボーナスを与えるなど、何らかの手当てをしなければいけません。

職場で支えよう」ときれいごとを言い、午後3時で帰宅する人の後始末を独身の女性が引き受け、何も見返りがない。日本の経営者は9割以上が男性なので、この心境を想像できない。後始末を引き受けるが、ラッキーだと思うオプションをつけなければいけません。
 
もう世の中を、男女の役割分担がない前提で考える必要があります。そしてそれが企業にもメリットがあるようにする。すべての人が働く前提で、親が子どもと仕事に向き合える環境を、企業が整えられるかどうかにかかっている。

ところで雇用保険から支給される育児休業給付金は、給料の半分です。

男性の育児休業が取れないのも原因はそこですよ。どっちが取るかと考えたら、普通、男性の方が給料多いですから、それが減らされるよりは女性が、という選択になります。逆に満額だったら、男性が取ってくれた方がいい。
 
すなわち日本では子どもを産むと“貧乏”になるのです。逆にフランスは産むと金持ちになる。大家族割引みたいな感じの特典がある。そんなことは、関心のある人たちはとっくに勉強済みで、あとは実現する人がいるかどうかなのです。

義務と同時に意欲を引き出すことも大事だと思います。フランスでは出産して育児をし、かつ仕事をしているいいモデルが、政治にも企業にもいる。

橋本聖子議員に「産むなら辞めろ」と抗議した国民
 
私、もうすぐ50歳になります。私の前の世代は、「女として何もかも犠牲にして頑張りました」という人が尊敬され、土井たか子さんとか、市川房江さんのように生涯独身で政治に身を捧げた人がロールモデルでした。「それはないだろう」と思う。変えたいけれど、実は、この国の人って厳しいのです。
 
10年ほど前、橋本聖子参院議員が妊娠した時、「仕事を辞めろ」という抗議文がたくさん届いた。全国民、男女問わず。それもあって、彼女は産後5日で復帰した。国民には女が男並みに仕事するなら子どもを産むなという価値観が強かった。

支援する声はなかったのですか。
 
その時はなかったようです。でも、2009年に現職閣僚でありながら2人目を妊娠した小渕優子衆院議員の時は、支援と抗議、半々ぐらいだったそうです。情報を伝えるマスコミも意思決定が男性主導ですし。政治もマスコミも一見平等に見えて、実は全然違うでしょう。男性の官僚にも問題意識が高い人がたくさんいるけれど、目立ちません。

育児休業を取ると出世する北欧
 
出世している人は育児休業を取っていませんから。育児休業取った人が事務次官になる社会でなければいけない。例えば、官僚で育児休業を取り、最近、横浜市副市長になった山田正人さんが経済産業省に戻って事務次官になれたらいいですね。子どもが生まれると給料が上がったり、昇進したりしないと、単に「立派な人だな」で終わってしまうだけです。

北欧では男性が育児休業を取っても、普通に昇進・昇格するらしいですね。
そう。日本は逆ですね。「男のくせに育休取りやがって」って陰で言って終わり。男性が問題意識を持ってくれないとね。女性にはいくらでも産みたい、と思っている人も多いのです。私だって今からだって産んでもいい。
 
育児に熱心な男性たち、すなわち「イクメン」とかが、もっとトレンドになるといいなと思います。イケメンのイクメンパパを表彰するイクメン大賞とか、日経BP社で主催したらどうですか?(笑)。

試行錯誤で何でもやらないとダメな段階にきている
 
今の60代、70代のおじさんたちが「えええーっ」と仰天するようなことをしないと、少子化は止まりません。少子化を加速させてきたのはこの人たちです。増やすなら逆を行く。今の若い世代は、共働きでなければ生活していけません。民主党がそれに向けて抜本的に対策できるかというと、自民党ののれん分けみたいな人がたくさんいるから、そこまではできないでしょう。でも何でもあり、少子化対策にタブーなし、というのがどの党でも大前提だと思います。

例えば、新築マンションの1階には保育施設設置を義務付けるのも1つのアイデアです。今まではやらなかった事を、とにかく試行錯誤で何でもやらない限りだめ。放っておいたらすべてが終わってしまう。
 
歴史的に人口が減って栄えた国はないと言われます。ローマ帝国も人口が減って滅びました。正直言うと、こんな議論を今さらしているようでは、手遅れです。この10年が勝負だったと思います。内心忸怩たる思いがあります。

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