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嘉手納統合提案 米上院軍事委員長らの書簡が明らかになりました

嘉手納統合提案 米上院軍事委員長らの書簡が明らかになりました。

この内容を読みますと、いつも自民党の石破議員が使っていました、ガラス細工の様な普天間基地辺野古移設合意案の言葉はガラスさえも出来あがっていなかったと解ります。


レビン軍事委員長とウェッブ・アジア小委員会委員長から国防総省への書簡(6日付)
 
親愛なるゲーツ長官
この書簡の目的は、あなたに、米国の今後の防衛姿勢と東アジアでの本国軍の再編成に関するわれわれの見解と提案を提供することだ。先の上院の休会中、われわれはグアム、テニアン、沖縄、そして東京を訪問した。数多くの米軍司令官や外交官、政府当局者、ビジネスリーダー、地方都市の議員らと面会し、われわれは既成の本国軍再編計画の現状とそれに関連した政治的な動きを評価した。

わが国は東アジアにおけるわが軍の役割を再定義するという観点から重要な局面を迎えている。歴史的なこの瞬間に、特に韓国、日本、そしてグアムにおけるわれわれの軍事態勢の構造改革と戦略原則について明確に述べることを要求されている。重要なのは、これが駐留方針に警鐘を鳴らしているのであり、駐留方針はこれらプロジェクトを動かすロジック分析によってというよりも、国防総省の歳出予算の機運により動かされているところが大きい。これは連邦議会に、特に軍事委員会にいるわれわれが、今世紀中に米軍がアジアで果たす重要な役割について評価し、その世話役になることが求められている。

 ◆実行不可能
2006年の日米間の米軍再編ロードマップ協定への署名以降、非常に多くの変化があった。このロードマップのスケジュールは完全に非現実的だ。幾つかの事業に伴う大幅な推定費用の増大は、今日の窮屈な財政環境においては(あまりに高額で)断じて負担することはできない。2011年3月に発生した悲惨な地震と津波による徹底的な破壊がもたらす巨額な財政負担はもちろん、沖縄とグアムの政治情勢もまた考慮に入れなければならない。変化がないのは、この地域でわが国は安定の鍵であることだ。われわれの関係の成功は、(われわれが)備える前方展開軍の安定性と、日本との緊密な同盟により保証される。

われわれの見方では、現行再編計画は非現実的で、実行不可能だ。東アジア地域における継続的で積極的な米国の存在をわれわれが強く支持している日本、韓国、そして東アジア諸国に保証を提供すると同時に、現行再編計画は慎重に再調査する必要がある。われわれの見解は実際には大まかで全般的なものであり、あなた(国防総省)の職員による詳細な分析の基礎としてもらう意図がある。

【見解】沖縄/グアム
沖縄での米軍駐留を縮小し、これらの機能をグアムへ一部移転する問題は軍事的に複雑で、費用が掛かる恐れがあり、政治的に微妙な問題だ。日米両政府は許容できる方策を考え出すために15年間取り組んできた。人口の多い沖縄の南部地域から多くの基地を移転し、人口の少ない北部地域に戦力を移し、グアムに8千人の海兵隊を移駐させるという大まかな枠組みは合意されている。しかし、こう着状態が続き、沖縄の多くは非妥協的になり、(沖縄)ほどではないにせよグアムも熱意を失ってきた。

沖縄で、最も困難で、長くジレンマに陥っているのは普天間飛行場の移設問題だ。普天間飛行場は人口密度の高い地域で運営され、数えきれぬほどの抗議の対象になっている。海兵隊は、海兵隊を特徴づけている陸・空の優れた連携を理由に、沖縄県内で移設すべきと主張している。普天間の海兵隊のヘリとその他の機能を近くにある嘉手納基地に移すという一つの選択肢も、嘉手納の騒音レベルを引き上げるという理由で反対されてきた。指導者らを含め、多くの沖縄県民は、県外へ移設されるべきだと譲らない。

 ◆10年は必要
日米両政府が妥協に達したのは、キャンプシュワブに近接し、一部陸から離れた場所に代替施設を建設することだ。両政府は議論を終結させるためにも、この選択肢を遂行しようという決意が固くみえるが、実現は困難に満ちている。(この案は)数十億ドル規模で、広大な埋め立てと多くの既存施設の移転や廃止を伴っており、最良のシナリオだとしても数年の努力が必要である。少なくとも10年は必要だという見方もある。その上、最近の東北地方の地震と津波は、日本経済に多大な打撃を与え、再建には何年もの時間が必要となる。

グアムでは、環境問題は解決されておらず、地域の指導者たちの多くは、軍の駐留の増大が現地の地域社会や設備を圧迫することを懸念している。彼らからの明らかな訴えは、基地の増大と同等に基地外のインフラ構築をする連邦資金が必要だということだ。テニアン島のような場所での訓練やグアムの射撃場に関連する問題は幾つか議論されている。軍事計画の立案者にとって主要な問題は、8千人の海兵隊とその家族をその島に配置するのか、それともハワイやキャンプ・ペンドルトンのような基地からグアム内外にローテーションさせる部隊に配備するのかということだ。この区別は、学校や病院、娯楽施設や住宅などのインフラ整備費の点で、大きな違いを生む。家族が含まれた場合、8千人の海兵隊は2万3千人の米国人になるだろうという試算になる。

また、グアムのアンダーセン空軍基地は、広大で使用率の低い施設だということに留意すべきだ。1970年代にB-52戦略爆撃機のミッションが断続的に行われていた。現在、アンダーセン空軍基地は最大容量の半分以下しか使われていないとわれわれはみている。


【提言】
海兵隊は、余分な装備を取り除いた司令部要素(だけ)を家族付きで駐留させるよう実施計画を変更し、司令部を支え、展開する戦闘部隊は他の場所を拠点にローテーションさせ、さらに「キャンプ富士」型の訓練場をテニアンに建設することを検討すべきた。グアムの海兵隊駐留に関して対立する「計画された」選択肢と「望ましい」選択肢については、解決されることが必要であり、そうすれば海軍は、2006年に最初に要望された総合的増強基本計画を進展させ、軍事委員会に提供することができる。

 ◆弾薬庫縮小
国防総省は、嘉手納基地配備の空軍の一部を他の太平洋地域に分散させながら、普天間基地配備の海兵隊を嘉手納基地に移転する実現可能性をただちに精査しなくてはならない。日本、そして特にグアムのアンダーセン空軍基地においては他の選択肢もたくさんある。さらに、グアムにすでにある二つの弾薬庫(8千エーカー)、そしてアンダーセン空軍基地内にある施設を考慮すれば、嘉手納基地の6千エーカーの弾薬庫は潜在的に規模の縮小が可能である。
 
沖縄県民への米軍駐留の負担軽減は、米軍再編のロードマップに関わる大事な目標である。前述のように海兵隊の航空部隊施設の嘉手納移転は、米国にとっても普天間基地の早期返還につながり、シュワブへの代替施設建設という現行計画より低い費用で実現できることになる。米国の納税者にとって不必要で負担できない費用を常に回避し続けないといけない。

 ◆費用削減、返還も
シュワブの代替施設計画を白紙に戻すことで確保される資金は、米軍再編見直しの中で始まる新たな計画に対応し得るものであり、それは日本政府との費用共同負担の合意形成の交渉で可能になる。この選択肢は同地域に米軍を保持しながら、普天間を取り巻く政治的に敏感な問題を大きく減らし、かつシュワブの代替施設建設で費やされるであろう莫大な費用をそのまま残すことも可能になり、さらに沖縄でのアメリカの土地占有を減らすことができる。さらに嘉手納基地の弾薬庫規模を削減できれば、沖縄県民にさらに多くの土地を返還できることになる。
 
われわれはできるだけ早い時期にこれらと、その他可能性についてあなたとあなたの部下と協議することを心待ちにしている。

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