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原子力発電は本当に発電コストが安いのでしょうか

原子力発電は安い。 狭い曰本列島に54もの原発が並ぶ理由の一つが、1KW時当たり5・3円といわれる発電コスト(費用)でした。
しかし、大島堅一・立命館大国際関係学部教授(環境経済学)は「政府の補助などを加えると2倍以上の10・68円。福島原発事故の賠償額を論じるまでもなく、高コストだ」と異論を唱える。本当はいくらなのか。
                                   (北海道新聞より)
水力11・9円、石油10・7円原子力5・3円。全国の電力会社10社でつくる電気事業連合会(電事連、東京) 2004年に公表した電力IKWを起こすのに必要な経費だ。原子力が最も安い。歴代政権と電力会社が、原発を推進してきた根拠の一つだ。ー方、大島教授は、原子力+揚水12・23円、原子力10・68円、火力9・9円一般水力3・98円が本当のコストだという。この違いは、電事連が新たに発電所を造るとして計算した仮定のコストなのに対し、大島教授は、実際の費用を計算したためだ。

電事連によると、仮のコストを使うのは、電力自由化で発電のライバル企業が増え、どの電源にいくらかかったか、実績値は企業秘密だからだ。

大島教授の方は電力各社が株式市場や経済産業省に提出した有価証券報告書からはじいた数字に政府が原発を推進するために支出した税金を加えて計算した。

特別会計や役人の再就職(天下り)で、税金投入がシステム化されているからだ。これにより、原子力は一気に10・68円に跳ね上がる。電事連が言っているコストは、この政府支出分を一部しか含んでいないという。

税金投入のシステムはこうだ。1974年、1KW時当たり8・5銭を電気料金に課す電源開発促進税が設けられた。この税金を特別会計に入れ、原発を受け入れた市町村に配った。道路を造るために、ガソリン税で、道路特定財源を作ったのと同じだ。
 
ところが、スリーマイル島事故(1979年3月28日)やチェルノブイリ事故(86年4月26日)もあって立地は進まない。
   
そこで、政府は交付対象を、スクールバス、葬儀場など電源開発と無縁の事業にまで広げた。受け入れた地元は、「全国原子力発電所所在地市町村協議会」などの全国組織を結成して、地域振興を政府に要望し、通産省(現経産省)の外郭団体「財団法人日本立地センター」がバックアップした。
  
07年度、この特別会計は整理・統合されたが、税が開発財源となるシステムは維持されたままだ。
  
大島教授によると、1974~2007年度の特別会計は総額10兆5380億円。うち3分の2、約7兆円を原子力に使った。
  
一般会計からも支出がある。1970~2007年度のエネルギー対策費の総額5兆2148億円の97%、5兆576億円は原子力関連だ。
      
原発には、揚水とバックエンドという固有のコストもある。
電力の需要は昼多く、夜少ない。火力や水力は、燃料や水の量を加減して発電量を調整する。核分裂はそうはいかない。常に一定の発電を保つバックエンドは、放射性廃棄物の処理や燃料を再利用する核燃料サイクルなど、発電後にかかるコスト。
 
政府は04年、18兆円と試算したが、青森県六ケ所村の再処理施設すらまだ一部が稼働しただけだ。
 
大島教授は「原発は単体でも安くない。揚水とセットなら、最も高い。消費者は税金投入分も負担している。福島原発で予想される巨額の賠償を考慮すると、さらに高くなる。今後どうするか、論議すべき時だ」と指摘する。
 
一方、電事連は大島教授の試算について、「計算の根拠がわからないので、何とも言えない」としつつ、「エネルギー資源の乏しい日本にとって、安定供給できる原発は優位だ」 (広報部)と話す。
 
しかし、福島原発事故で、今は安全性を語れない。他方、電力各社には、原発を進める国策に協力してきたという思いもある。ある電力会社関係者は「原発をどうするかは、政府と国民の判断次第。電力会社はそれに従う」と述べる。
 
電力会社の自家発電や他社から買う「受電」の量に占める原発の割合は、関西電力の45%から中部電力の14%までさまざまだ。
 
原発をめぐる論議は過去、政治性を帯びた時期もあったが、いま、自由で柔軟な論議の時を迎えたのではないか。 

揚水発電とは 夜は電力が余る。そこで、山中に巨大な池を作って夜間にポンプで水を揚げ、昼の需要時に水力発電をする。これが揚水発電といわれ、コストがかさむ。

おおしま・けんいち 1967年、福井県生まれ。専門は環境経済学。岩波書店の雑誌「環境と公害」の編集幹事、特定非営利活動法人「地球環境と大気汚染を考える全国市民会議」の理事などを務める。環境問題で国際的なネットワ-クづくりを進めている。

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