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高速道路無料化が実現しない本当の理由

私は、このブログに日本にとって高速道路無料化が必要だと載せましたが、その後マスコミのネガテブキャンペ-ンが行われた為に、現在もかなり誤解されている様です。
再度、高速道路無料化が実現しない本当の理由を掲載します
民営化で状況は逆に悪化した山崎 養世 【プロフィール】
 これまで2回、高速道路の無料化について書きましたが、反響の大きさに驚かされました。
 当然かもしれません。ほとんどの大人は運転免許を持っています。また、自動車を使わない法人はほとんどありません。国民的な問題と言っていいでしょう。
 ではなぜ、高速道路無料化が実現しないのでしょうか。それは、小泉純一郎政権時代に、道路公団民営化が決まったからです。これによって、今後45年は世界一高い通行料金を取り続けることが決まったのです。
民営化委員会でまともに議論されなかった「無料化」
 それを決めたのが、猪瀬直樹氏を中心にした道路関係四公団民営化推進委員会(民営化委員会)でした。最大野党である民主党が、2003年の政権マニフェストから高速道路無料化を唱えました。
 でも、民営化委員会は、高速道路無料化をまともに議論したことすらありませんでした。
 もちろん、猪瀬氏は、高速道路無料化に反対です。そして、今も猪瀬氏は、様々なメディアで、「タダは国を滅ぼす」として高速道路無料化への批判を展開しています。その内容はお粗末なものです。
 まず、猪瀬氏は、便利な高速道路を使う受益者は、その対価として料金を払うべきだ、と主張しています。
 事実は、日本の高速道路ユーザーは、高速道路を走る時にもガソリン税をはじめとした税金という「対価」を既に払っています。それは、自動車ユーザー全体の税金の2割もの2兆円近い額です。
高速道路ユーザーの税金が一般道路の建設に使われている
 だから、猪瀬氏が、一般道路のユーザーの税金で、高速道路無料化を実現するのはけしからん、というのもウソです。事実は逆です。
 すべての自動車ユーザーの税金は、一般道路の建設に充てられているのです。つまり、高速道路ユーザーの税金が、一般道路の建設に流用されているのです。
 こんな流用を放置しておいて、そのうえに、高速道路ユーザーから世界一高い通行料金を取っているのです。その結果、距離に応じて料金が跳ね上がる地方の高速道路を、多くの地元住民は使えません。
 また、猪瀬氏は、新幹線など、早いものはコストがかかる。だから、早く目的地に行ける高速道路の料金が高いのは当たり前、とも言います。これもおかしな理屈です。
 高速道路の建設費は既に43兆円の借金の中に含まれているからです。この借金を返せば、高速道路無料化は自動的に実現します。財源の心配はありません。高速道路ユーザーが既に払っている2兆円の税金を充てればいいからです。
新幹線と高速道路を比べることの無意味
 大体、新幹線と高速道路を比べること自体が間違いです。
 新幹線は、車両もエネルギーも運転もJRが提供します。だから、料金は高くなります。高速道路では、クルマもガソリンも運転も、提供しているのは高速道路のユーザーです。
 そして高速道路の建設コスト分は、高速道路ユーザーは税金の形で既に負担しているのです。
「高速道路無料化はバラマキ」というのもウソです。
これからは、欧米諸国と同じように、道路財源の税金の範囲内で高速道路も一般道路も作るべきです。そうなれば、新しい高速道路を作っても借金はできません。道路財源が足りなくなる、という心配はありません。
高速道路無料化に財源を使っても、7兆円もの自動車ユーザーからの財源が残るからです。英国の5倍、ドイツの3倍です。それに、全国の高速道路が無料になれば、新しい道路を作る必要も減るでしょう。
そもそも、猪瀬氏が高速道路の無料化に反対するのは、自分がリードした民営化委員会の結論に反しているのです。
というのは、民営化プラン自体が、45年後には高速道路は無料化しなくてはいけないと定めているからです。

《7人中5人が辞めた異常な民営化委員会》
道路公団民営化の根拠法である道路整備特別措置法の第3、4、23の各条は、高速道路の借金は民営化会社設立後45年以内に返さなくてはいけないこと、そして、借金返済のために通行料金を取るのも、45年を越えてはいけないことを規定しています。
つまり、45年後には、日本の高速道路の特別措置は終わり、他の国道と同様に無料にしなくてはいけない、と法律で定めているのです。
猪瀬氏が委員を務めた民営化委員会は異常でした。7人の委員のうち、5人がいなくなったのです。経団連の今井敬会長は途中で委員長を辞任し、以後会議を欠席しました。
行政改革の専門家である田中一昭委員長代理と、国鉄民営化を推進したJR東日本会長の松田昌士委員は、途中で辞任しました。道路工学の権威の中村英夫委員とマッキンゼー社のシニアエクスパートの川本裕子委員は途中から欠席を続けました。

《民営化のメリットは吹き飛び、借金は逆に増える》
結局、民営化委員会の結論を2002年12月に小泉首相に提出したのは、猪瀬直樹氏、大宅映子氏の2人の言論人でした。
その時に、田中、松田、川本の三委員は、民営化委員会の結論に反対する共同記者会見を行いました。後に、田中委員長代理は「道路公団改革、偽りの民営化」という本を出しました。
猪瀬氏は、審議機関を通じて、異論を唱える他の委員をさまざまなメディアを駆使して批判しました。そして、最後はほとんど猪瀬氏1人で委員会の結論を出しました。
この間の猪瀬氏の行動については、櫻井よしこ氏が、「権力の道化」という克明なドキュメンタリーを書いています。
民営化委員会の結論は、驚くべきものでした。
まず、国土交通省は、民営化以前の計画に従って、民営化会社に高速道路の建設を命令することができることになりました。
そうなると、今以上に高速道路の借金が増えます。高速道路の建設に経済原理が導入されるという「民営化」のメリットは、どこかに消えてしまったのです。

《今後の金利動向次第で大きく膨らむ可能性のある借金》
でも、民営化会社の経営は楽なものになりました。それまで旧道路四公団が積み上げた43兆円もの借金は、日本高速道路保有・債務返済機構という新設の独立行政法人に移されました。
民営化会社の借金ではありません。そして、民営化会社は新しい高速道路建設の借金も背負わなくていいのです。すべて、実体のない独立行政法人が借金を背負うのです。
今の43兆円の借金は、45年もかけて通行料金収入で返すことになっています。だから、世界一高い料金が続くのです。
でも、これから怖いのは金利の上昇です。10年ごとくらいに借金を借り替えていく必要がありますから、その時の金利でコストが決まるからです。金利が上昇すれば、返済額が増えます。
現在のゼロインフレと超低金利が今後45年も続く保障はありません。さらに問題なのは、43兆円もの借金を抱える独立行政法人の性格があいまいなことです。
今は、なんとなく政府が最終責任を持つだろうという「常識」が支配しています。でも、財政が苦しくなり、地方の3セクで起きたように、独立採算だから政府は知らないとなると、借金の継続自体が不可能になるでしょう。

《とんでもない借金爆弾抱えた民営化》
実は、民営化はとんでもない借金爆弾を抱えているのです。
私が提示した高速道路無料化の案は、そんなリスクをなくすものです。今の低金利のうちに、43兆円の借金をいったん国が引き取ります。借金が国のものになった時点で、通行料金を民営化会社が取る根拠はなくなり、高速道路無料化が実現します。
借金を引き取る原資は、低い固定金利の国債の発行で賄い、金利コストを確定できます。旧道路四公団の借金を返した先が新しい国債の最大の買い手になりますから、国債は十分に消化できます。
そして、この国債の返済財源は、現在高速道路ユーザーが負担している2兆円の税金相当額を充てれば十分賄えます。
特に、来年度予算で2兆5000億円もの自動車ユーザーの税金の上乗せ分の使い道が宙に浮いてくるのです。その分を、高速道路無料化の財源に充てるのが合理的です。
民営化の現実がイメージと逆行している例は他にもあります。
 
国民の財産であるはずの高速道路のサービスエリアやパーキングエリアでの飲食やショッピングなどの事業は、民営化会社が独占できるのです。

《天下り天国のファミリー企業には国のお墨付きが…》
これまで猪瀬氏などが批判してきたファミリー企業は、これからは堂々とグループ企業ということになります。おまけに、民営化会社は当面上場もしませんから、株式市場や金融当局からのチェックもほとんどありません。
もちろん、国会の監視からも外れます。もちろん、天下りの構図も変わっていません。
結局、道路公団民営化は、前からの利権の構造は温存し、その上に、前よりもっと無責任な特殊法人をいくつも作っただけに終わりました。
借金返済の重荷は高速道路ユーザーに負わせ、それでも返せなければ国民負担になるのです。改革と称して改悪にしかならなかったのです。
民営化という形だけは整えて、猪瀬氏は、櫻井よしこ氏が描いたように権力に都合のいい道化の役を果たしたのかもしれません。
でも、その時に高速道路無料化という大きな選択肢を葬ったことで、地方の経済が自立する絶好のチャンスを失いました。
そして、当時の小泉首相も、既得権益の支配から高速道路を国民に返すチャンスを失いました。地方の自民党離れの大きな原因にもなっています。
一方、民主党も、これまでは高速道路無料化の踏み込んだ議論をせずにきました。特に、無料化の財源を明示せず、絶好の攻撃材料を与えてきました。
予算の最大の焦点が、2兆5000億円に上る自動車ユーザーからの税金の上乗せ分の取り扱いだからです。
これを高速道路無料化に充てれば、地盤沈下を続ける地方の経済が復活する最初の条件がようやく整うのです。国民のものを国民に返し、国民を豊かにするという政治の使命が今、問われています。
日本の政治は今また大きく揺れ動いています。しかしながら、政権の枠組みがどのような形であれ、このチャンスを生かすことが、日本の政治にとって不可欠なことです。
★高速道路無料化案に対しては、かなり前から提唱されているにもかかわらず、その本質を理解していない批判が多すぎる。もちろん、無料化案がすべてよいということではない。当然、マイナス面に振れる(可能性が高くなる)側面もあるだろう。しかし、政治とは現実的な選択である。
現状の方式と、無料化方式と、どちらがよりマシかの選択になる。
経済への波及効果、天下りの根絶、健全な道路行政の維持といった側面で、無料化案の方がプラス面が多いと言えるだろう。  

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